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Microsoft Foundry のモデルのデプロイについて整理する

Microsoft Foundry でモデルをデプロイする場合、モデルによる利用条件やサポート、デプロイ種類による課金形態や推論処理実行時のリージョン、クォータの管理のように業務で考慮する観点が複数あります。今回はモデルのデプロイでどのようなものがあるかについて説明します。

若葉 香月
17 July, 2026

前提条件

  • 本記事は2026年7月17日現在の内容となります。今後のアップデートにより仕様変更が発生することがあります。
  • 一部プレビューの機能を含むため、業務で利用する場合はよく検討の上で使用してください

Microsoft Foundry におけるモデルの提供形態

Foundry でデプロイするモデルは、主にAzure Direct モデルとパートナー、コミュニティから提供されるモデルの2種類に分類されます。この2種類以外にHugging Face モデルとAzure Government で販売されるモデルがあります。Hugging Face モデルは、マネージドコンピューティングを通じて利用できるパートナー、コミュニティモデルの一部です。Azure Government で販売されるモデルは政府向けクラウドでのモデル提供形態です。

Azure Direct モデルとパートナー、コミュニティモデルでは、利用条件、ライセンス、サポート窓口、データ処理条件が異なります。パートナー、コミュニティモデルでは、モデル提供元の条件に加えて、モデルカード、Azure Marketplace の条項、デプロイ時に表示される条件も確認してください。

Azure Direct モデル

Azure Direct モデルはMicrosoft 製品使用条件の下でAzure にホストされるモデルです。主にGPT シリーズを中心とするAzure OpenAI モデルとその他モデルに分類されます。どちらもAzure Direct モデルとして扱われ、Microsoft のサポートを利用できます。Azure が販売するモデルに送信したプロンプト、入力、出力は、基盤モデルの学習や改善には使用されません。データの保存、処理、保持期間は、利用するAPI、監視機能、設定、契約条件により異なるため、該当するデータプライバシー文書も確認してください。

Azure OpenAI モデルでは主に以下のようなモデルがあります。

モデル名 概要、特徴
GPT 5.X シリーズ (mini、nano を含む) 文章生成、要約、情報抽出、コード生成、チャットボット、エージェントなど幅広い用途に対応するモデル。mini や nano は低コスト・低遅延を重視した用途に適しており、上位モデルは高度な推論や複雑なタスクに利用される。
GPT-5.x Codex シリーズ (codex-mini を含む) ソフトウェア開発支援に特化したモデル。コード生成、コードレビュー、リファクタリング、テストコード作成などの開発タスクで利用できる。
gpt-oss オープンウェイトの大規模言語モデル。モデルの透明性やカスタマイズ性を重視するシナリオに適している。Foundry では、モデルやSKUに応じてサーバーレスデプロイまたはマネージドコンピューティングで利用できる。
埋め込みモデル (text-embedding) テキストをベクトル化し、意味的な類似性検索を実現するモデル。RAG (Retrieval-Augmented Generation)、ドキュメント検索、ナレッジベース検索などで利用される。
イメージ生成モデル (gpt-image) 自然言語による指示から画像を生成・編集できるモデル。画像生成に加え、画像編集やビジュアルコンテンツ作成などに利用される。
オーディオモデル (gpt-realtime、gpt-audio など) 音声入力と音声出力に対応したモデル群。gpt-realtime は低待機時間の音声対話、gpt-audio は音声とテキストを扱う生成に利用できる。文字起こしには whisper や gpt-4o-transcribe、音声合成には tts や gpt-4o-mini-tts など、用途別のモデルも提供されている。
動画生成モデル (Sora) テキストによる指示から動画を生成するモデル。映像コンテンツ制作やシーン生成、クリエイティブ制作などに利用される。

その他のモデルは以下のようなモデルがあります。

モデル名 概要、特徴
Black Forest Labs (BFL) FLUX モデル 画像生成に特化したモデル群。テキストから高品質な画像を生成でき、プロンプトへの忠実性や写実性に優れている。デザイン制作、コンテンツ生成、マーケティング素材作成などの用途に利用される。
Cohere モデル エンタープライズ用途を重視して設計された大規模言語モデル。RAG(Retrieval-Augmented Generation)や企業向け検索システムとの親和性が高く、長文の理解や社内文書を活用したQ&A、要約などに適している。
DeepSeek モデル 推論性能とコスト効率を重視したモデル群。DeepSeek-R1は高度な推論能力を備え、複雑な問題解決、数理推論、コード生成などに適している。
Meta モデル Meta が提供する Llama シリーズを中心としたオープンウェイトの大規模言語モデル。チャット、要約、分類、エージェント開発など幅広い用途に利用でき、オープンモデルを活用したシステム構築で利用される。
Microsoft モデル (MAI-Image、model-router) Microsoft が提供する AI モデルおよび推論サービス。MAI-Image はテキストから画像を生成するモデルであり、音声認識・音声合成に対応する MAI モデルも提供されている。また、model-router は利用シナリオに応じて最適なモデルへリクエストを振り分けるルーティング機能であり、コストと性能のバランス最適化を支援する。
Mistral モデル 高性能かつ実行効率に優れた Mistral AI のモデル群。チャット、要約、分類、情報抽出、コード生成など幅広い自然言語処理タスクに対応し、高い性能と軽量性を両立している。
Moonshot AI モデル Kimi シリーズとして提供される大規模言語モデル。長いコンテキスト長への対応を特徴とし、大量文書の分析や長文要約、コード生成などに利用できる。
xAI モデル Grok シリーズとして提供される大規模言語モデル。高度な推論能力と幅広い知識を備え、対話型アプリケーション、コード生成、エージェントシステムなどに利用できる。用途に応じて高性能モデルや高速応答モデルが提供されている。

Azure Direct モデルでサポートされているモデルの詳細を知りたい場合は公式ドキュメントの一覧を参照してください。

Azureが販売するFoundry モデル

パートナー、コミュニティが販売するFoundry モデル

Foundry ではAnthropic のようにパートナー、コミュニティから提供されるモデルもデプロイできます。Azure Direct モデルと提供元が同じモデルもありますが、提供されるモデルは異なります。パートナー、コミュニティのモデルはMicrosoft 製品使用条件では非Microsoft 製品に分類されるため、モデルの利用条件、ライセンス、サポート窓口はモデル提供元の条件を確認してください。推論処理後のプロンプトや会話履歴の保持など、データ処理の要件もモデル提供元によって異なります。業務で使用する場合は、データ保持のような要件を満たしているか事前に確認してください。

パートナー、コミュニティモデルのうちAzure Marketplace のオファーとして提供されるモデルでは、Marketplace の契約と必要なRBAC 権限が必要です。必要な権限と契約手順はモデルごとに確認してください。

パートナー、コミュニティが販売するモデルでは主に以下のようなモデルがあります。

モデル名 概要、特徴
Anthropic モデル (Claude) 高い推論能力と長いコンテキスト長への対応を特徴とする大規模言語モデル。文書要約、分析、Q&A、コード生成など幅広い用途に利用でき、大量の文書を扱う業務システムや高度なエージェントアプリケーションに適している。
Cohere モデル (Cohere-embed) テキストをベクトル化するEmbeddingモデル。検索拡張生成(RAG)やエンタープライズ検索で利用されるベクトル検索基盤の構築に適しており、社内文書検索やナレッジベース検索などで広く利用される。
Meta モデル (Llama-4-Scout) オープンウェイトの大規模言語モデル。チャットボット、要約、情報抽出、コード生成、エージェントなど幅広い用途に利用でき、カスタマイズ性や柔軟なシステム構築を重視するケースで利用される。
Microsoft モデル (Phi) 小規模言語モデル(SLM)として設計された Microsoft のモデル群。軽量で高い性能を持ち、エッジ環境やリソース制約のある環境での利用に適している。
Mistral AI 推論性能と実行効率のバランスを重視したモデル群。チャット、要約、分類、情報抽出などの汎用的な言語処理タスクに対応し、比較的軽量な構成でも高い性能を発揮する。
NTT データ (Tsuzumi) 日本語と英語に対応した小規模言語モデル(SLM)。日本語処理に優れ、軽量で高速な推論が可能なため、企業向け業務アプリケーションやリソース制約のある環境での利用に適している。

パートナー、コミュニティが販売するFoundry モデルでサポートされているモデルの詳細を知りたい場合は公式ドキュメントの一覧を参照してください。

パートナーとコミュニティからの Foundry モデル

Azure Government で販売されるFoundry モデル

Foundry では、一般的な商用クラウドとは別にAzure Government で提供されるFoundry モデルもあります。主にアメリカ連邦政府機関、州政府機関、政府関連組織向けのクラウドで使用され、FedRAMPDoD のような規制要件がある場合に利用されます。使用可能なモデルはAzure OpenAI モデルが中心です。商用クラウドとは、モデルの種類、バージョン、リージョンの可用性が異なります。

Azure Government に関連する業務を行わない限りは基本的に使用しないため、こういうのもある程度で見ておきましょう。サポートされているモデルの詳細を知りたい場合は公式ドキュメントを参照してください。

Azure Government で Azure が販売する Foundry モデル

Hugging Face モデル (プレビュー)

Foundry ではHugging Face が公開する一部のモデルをデプロイできます。対象はFoundry のモデルカタログに掲載され、利用できるように選定されたモデルです。たとえばFoundry でGemma のようなモデルを利用したい場合に選択肢になります。デプロイにはFoundry のマネージドコンピューティングを使用します。Foundry のマネージドコンピューティングは2026年7月現在プレビュー機能のため、使用する場合はよく検討の上で導入してください。

Hugging Face モデルには、モデル提供元のライセンスと利用条件が適用されます。Foundry で利用できる対象モデルの重みはAzure に格納され、Microsoft により利用対象としての確認とセキュリティスキャンが行われます。料金は、アクセラレータ数、モデルインスタンス数、実行時間に応じて発生します。

Microsoft Foundry の Hugging Face モデル (プレビュー)

モデルの利用方式

Foundry でモデルを利用する場合、サーバーレスデプロイ、マネージドコンピューティング、インスタント アクセスの3種類の方法があります。

サーバーレスデプロイ

サーバーレスデプロイは、Foundry リソースにモデルをデプロイし、サーバーレス API 経由でモデルを呼び出す方式です。Azure Direct モデルや一部のパートナー、コミュニティモデルの基本モデルに加え、対応するファインチューニング済みモデルもデプロイできます。デプロイの種類やデータ処理方法を選択でき、コンテンツフィルター、Microsoft Entra ID によるキーレス認証、プライベートネットワーク、PTU も利用できます。使いたいモデルがマネージド コンピューティング専用でない限り、まずサーバーレスデプロイを検討します。

サーバーレスデプロイには以下のようなデプロイの種類があります。モデルによって利用できる種類は異なるため、データ処理要件やユースケースに合わせて選びます。

デプロイ種類 データ処理 課金方式 説明、ユースケース
グローバル標準 任意のリージョン トークン使用量に応じた課金 一般的なモデルのワークロードを行うデプロイ。汎用的なワークロード、予測不能なワークロードで使用する。
グローバルプロビジョニング済みスループット 任意のリージョン 予約済みPTU の課金 予約済みのモデル処理能力を確保するデプロイ。予測可能な高スループットや、待機時間のばらつきを抑えたいワークロードに使用する。
グローバルバッチ 任意のリージョン 50% 割引、24 時間の目標ターンアラウンド 大規模な非同期ジョブ向けのデプロイ。通常より低い料金で処理できるが、リアルタイムの応答性はない。
データゾーン標準 データゾーン内 トークン使用量に応じた課金 特定のデータゾーン内で一般的なワークロードを行うデプロイ。特定のエリアによるデータ要件がある標準ワークロードで使用する。
データゾーンプロビジョニング済みスループット データゾーン内 事前に予約したPTU の課金 特定のデータゾーン内でトークンの使用量を確保して処理を行うデプロイ。特定のエリアによるデータ要件がある予測可能なワークロードで使用する。
データゾーンバッチ データゾーン内 50% 割引、24 時間の目標ターンアラウンド 特定のデータゾーン内で大規模な非同期バッチ処理が必要な場合に使用する。
標準 単一リージョン トークン使用量に応じた課金 特定のリージョンで一般的なモデルのワークフローを行うデプロイ。リージョン要件がある標準ワークロードに使用する。
リージョンプロビジョニング済みスループット 単一リージョン 事前に予約したPTU の課金 特定のリージョンでトークンの使用量を確保して処理を行うデプロイ。リージョン要件がある予測可能なワークロードに使用する。
開発者 任意のリージョン トークン使用量に応じた課金 ファインチューニングされたモデルでのみ使用できるデプロイ。ファインチューニングの検証用途で使用する。

インスタントアクセス (プレビュー)

インスタントアクセスはFoundry リソースにモデルをデプロイせず、サポートされているモデルを呼び出せる方式です。インスタントアクセスは2026年7月現在プレビューの機能で、West US 3 リージョンのFoundry プロジェクトでのみ使用できます。Foundry プロジェクトのエンドポイントから、Microsoft 管理のインスタントアクセスモデルへルーティングされます。

通常であればFoundry ポータルでモデルのデプロイ後にプレイグラウンドを使用できますが、West US 3 リージョンのFoundry ポータルではデプロイせずにプレイグラウンドの画面に遷移できます。

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2026年7月現在インスタントアクセスではGPT 5系のモデルを中心に使用できます。West US 3 のFoundry プロジェクトで、モデルカタログの「開発オプション」を「インスタント」で絞り込むと使用可能なモデルを確認できます。インスタントアクセスではデプロイを作成しないため、デプロイごとのTPM やRPM の割り当て、カスタムガードレール、カスタムRAI ポリシー、カスタムコンテンツフィルターは設定できません。

インスタントアクセスは、検証やPoC、リリース直後のモデルを試す用途に向いています。予約済みスループット、特定リージョンでのデータ処理、モデルごとのカスタムガードレールが必要な場合は、デプロイを作成します。

マネージドコンピューティング (プレビュー)

マネージドコンピューティングは、専用GPU 容量で主にオープンソースやコミュニティモデルをデプロイして使用する方式です。2026年7月現在はプレビュー機能です。Hugging Face モデルなど、一部のモデルはマネージドコンピューティングでのみデプロイできます。モデルの呼び出しはMicrosoft Foundry のエンドポイントを経由して行います。料金はサーバーレスデプロイのようなトークン従量課金ではなく、アクセラレータ数、モデルインスタンス数、実行時間に応じて発生します。

マネージドコンピューティングは、現在 GlobalManagedCompute SKU によるグローバルデプロイとして提供されています。プレビューのデータパスには組み込みのAzure AI Content Safety フィルターが含まれないため、必要に応じてアプリケーションからAzure AI Content Safety API を呼び出します。

マネージドコンピューティングは、対象モデルを専用GPU 容量で動かしたい場合に使用します。特に要件がなければ、まずサーバーレスデプロイで利用できるモデルを検討します。

デプロイの種類によるリージョンの違い

Foundry でモデルをデプロイするとき、グローバル標準、データゾーン標準、標準/リージョナルがそれぞれつけられています。これはFoundry にデプロイされたモデルがどのリージョンで推論を実行するかの違いやデプロイ可能なモデルの違いがあります。デプロイの種類で使用可能なモデルはモデルカタログのデプロイSKU でフィルターを設定すると確認できます。各デプロイの種類によるデータ処理のイメージは以下のとおりです。

image

グローバル標準

グローバル標準 (Global Standard) はモデルが利用可能な全てのAzure リージョンにおいて、最適なリージョンにルーティングされ実行されます。ファインチューニングでのみ使用する開発者を選択した場合も推論処理はグローバル標準と同じになります。例えば、Foundry リソースをJapan East リージョンで作成しモデルをグローバル標準でデプロイした場合、推論の実行はJapan East 以外のリージョンでも実行されます。その反面、使用可能なクォータが大きい、モデルの種類が豊富、最新のモデルの提供も早いとのメリットがあります。推論実行時のデータ要件が厳しくなければ選択肢の多いグローバル標準を推奨します。

データゾーン標準

データゾーン標準 (Data Zone Standard) はMicrosoft が定義したデータゾーン内でのみ推論処理が実行されます。定義されているデータゾーンはUS、EU、APAC の3つです。データゾーンはFoundry リソースのリージョンに応じて自動的に決められます。例えばEast US 2 にFoundry リソースをデプロイした場合、データゾーンはUS となります。どのリージョンがどのデータゾーンになるかは データゾーンの展開 を参照してください。推論実行のリージョンが狭くなるため、データ要件を満たしやすくなりますが、グローバル標準より若干使用可能なクォータが少なくなる、デプロイ可能なモデルが少なくなるデメリットもあります。特定のエリア内におけるデータ要件がある場合に使用します。

標準/リージョナル

標準/リージョナルはFoundry リソースをデプロイしたリージョンでのみ推論が実行されます。例えばFoundry リソースをJapan East で作成した場合、推論処理はJapan East でのみ実行されます。データ要件が厳格で特定のリージョンからデータを海外に持ち出せない場合に利用できます。その反面、使用可能なクォータは一番少なく、使用可能なモデルも限られます。

Foundry プロジェクトにおけるモデルのクォータ

サーバーレスデプロイの標準系では、主にTPM (Tokens Per Minute) 単位で推論容量を管理します。クォータはサブスクリプション、リージョン、モデルごとに割り当てられ、同じクォータを複数のデプロイで分けて使用します。RPM (Requests Per Minute) を含むレート制限の扱いは、モデルやサービスの規則によって異なります。PTU を使うデプロイはPTU 単位、インスタントアクセスはモデルごとのグローバルクォータ、マネージドコンピューティングはリージョンとアクセラレータファミリごとのクォータで管理されます。使用可能なクォータはFoundry ポータルの「操作 > クォータ」から確認できます。

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サブスクリプション単位で使用できるクォータは業務要件によって不足することがあります。この場合はサブスクリプションのクォータの引き上げ要求で上限を増やすことができます。クォータの引き上げ要求はFoundry ポータルの「操作 > クォータ」を選択し、クォータの要求から申請フォームを開きます。

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申請フォームでは申請者や会社情報、サブスクリプションID、引き上げが必要な理由または用途、クォータのタイプ、必要なTPM (realtime のように一部モデルではRPM) を入力します。クォータの引き上げ申請はAzure Direct モデル、Azure OpenAI モデル、Anthropic モデルのみ対象であり、パートナー、コミュニティ販売のモデルは対象外となります。

クォータの引き上げ要求の注意点は、クォータの引き上げ要求をすれば必ず引き上げられるわけではありません。 ドキュメントでも以下のような記載があります。

優先度は既存のクォータ割り当てを積極的に使用している顧客に適用されます。 この条件を満たしていない要求は拒否される可能性があります。

業務において何度かクォータの引き上げ要求を行ったことがありますが、希望のクォータより少ない値で引き上がったり拒否されるケースもあります。こうしたケースで使いたいTPM を確保できない場合は、データ要件などを確認の上で複数リージョンでモデルを用意する、など別の対応策を検討してください。

モデルのデプロイ方法

Foundry にモデルをデプロイする方法は以下のようなものがあります。

  • Foundry ポータル
  • Azure CLI
  • Bicep、Terraform のようなIaC ツール

Foundry ポータル

Foundry ポータルでFoundry プロジェクトにモデルをデプロイする場合、「ビルド > デプロイ」から右側の「デプロイ」を選択します。デプロイは基本モデルをデプロイするかファインチューニングしたモデルをデプロイするかを選択します。画像例は基本モデルのデプロイで進めます。

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モデルカタログが表示されるため、デプロイするモデルを検索し選択します。今回は例としてgpt-5.2 モデルを選択します。選択後、右側の「デプロイ」から既定の設定またはカスタム設定を選択します。画像例はカスタム設定を選択した場合となります。

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image

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カスタム設定で設定できる項目は以下のとおりです。デプロイの種類によって設定可能な項目が変わります。

項目 説明 デプロイ種類による設定項目
デプロイ名 モデルのデプロイ名を設定する。アプリケーションからモデルを呼び出す時に使用する。 共通
デプロイの種類 モデルのデプロイ種類を選択する。標準、バッチ、プロビジョニング済みスループット (PTU) によってデータ処理のリージョン、課金方法が変わる。 共通
優先処理 推論実行の待機時間を短くするオプション。待機時間を短くする代わりに従量課金の料金が高くなる。 共通
モデルバージョン Foundry で提供されているモデルのバージョンを設定する。 共通
モデルバージョンのアップグレードポリシー モデルのアップグレードのタイミングを設定する。デフォルトは新しいバージョンが登場したら自動アップグレードが設定され、有効期限が切れたら、自動アップグレードを行わない、を設定可能。 共通
動的クォータを有効にする モデルの処理でクォータが足りなくなった場合、一時的にクォータを増やし処理を行う機能。バッチ処理では有効化を推奨。 バッチ
1分あたりの最大トークン数 1分あたりに使用できるトークン数を設定する。デプロイによって使用可能なトークンを制限したい場合に使用する。 標準
エンキューされたトークン数 バッチ処理時に使用する1分あたりのトークン数を設定する。 バッチ
1分あたりの入力トークン数 1分あたりに使用できる入力トークン数を設定する。 PTU
1分あたりの出力トークン数 1分あたりに使用できる出力トークン数を設定する。 PTU
ガードレール デプロイに設定するガードレールを指定する。デプロイによって異なるガードレールの設定が可能。 共通

今回は画像例で出していませんが、Foundry ポータルからマネージドコンピューティングでモデルをデプロイする場合、設定できる項目は以下のとおりです。

項目 説明
デプロイ名 モデルのデプロイ名を設定する。アプリケーションからモデルを呼び出す時に使用する。
デプロイの種類 デプロイの種類を設定する。グローバルマネージドコンピューティングで固定。
デプロイテンプレート モデルの実行に使用するランタイム、ハードウェア、スケーリング制限、関連設定。選択したモデルによって設定が異なる。
アクセラレータの種類 リージョンごとのアクセラレータファミリを指定する。仮想マシンのクォータとは別になる。
モデルインスタンス モデルのインスタンス数を指定する。インスタンス数が増加すると処理能力が向上するがコストも増加する。

補足

「モデルの比較」を選択すると複数のモデルの各種情報を比較できるため、性能や機能を比較した上で決めることができます。

image

Azure CLI

Azure CLI でFoundry リソースにモデルをデプロイする場合、az cognitiveservices account deployment create コマンドを使用します。事前にAzure CLI と cognitiveservices 拡張機能を導入し、az cognitiveservices account list-models でモデル名、モデル形式、バージョン、利用可能なSKUを確認してください。以下はgpt-5.2 モデルをデプロイするコマンド例です。

# cognitiveservices 拡張機能を導入する
az extension add -n cognitiveservices

# 利用可能なモデルとSKUを確認する
az cognitiveservices account list-models \
  --resource-group rg-foundry-test \
  --name aif-foundry-test

# Foundryプロジェクトにgpt-5.2モデルをデプロイする
# Global Standard のSKU容量は通常1K TPM単位で指定する
# --sku-capacity 10 は10K TPMを意味する。
az cognitiveservices account deployment create \
  --resource-group rg-foundry-test \
  --name aif-foundry-test \
  --deployment-name gpt-5.2 \
  --model-format OpenAI \
  --model-name gpt-5.2 \
  --model-version "2025-12-11" \
  --sku-capacity 10 \
  --sku-name GlobalStandard

# デプロイしたモデルを確認する
az cognitiveservices account deployment list \
  --resource-group rg-foundry-test \
  --name aif-foundry-test \
  --output table

Azure CLI でパートナー、コミュニティモデルをデプロイする場合、Azure Marketplace のオファーとして提供されるモデルでは、事前に契約と必要な権限が必要です。コマンドの詳細なオプションを確認したい場合は以下のドキュメントを参照してください。

az cognitiveservices account deployment create

Bicep のようなIaC ツール

Foundry リソースのモデルはBicep のようなIaC ツールでもデプロイできます。以下のコードはFoundry リソースとプロジェクトを作成し、Foundry リソースにモデルをデプロイするBicep のサンプルコードです。

targetScope = 'resourceGroup'

@description('Azure region in which the Microsoft Foundry resource is created.')
param location string = resourceGroup().location

@description('Globally unique name of the Microsoft Foundry resource. Use lowercase letters, numbers, and hyphens.')
@minLength(2)
@maxLength(64)
param foundryName string = 'foundry-${uniqueString(subscription().id, resourceGroup().id)}'

@description('Name of the Microsoft Foundry project.')
@minLength(2)
@maxLength(64)
param projectName string = 'sample-project'

@description('Display name shown for the Microsoft Foundry project.')
param projectDisplayName string = 'Sample Project'

@description('Description of the Microsoft Foundry project.')
param projectDescription string = 'Microsoft Foundry project deployed by Bicep.'

@description('Name used by applications when calling the deployed model.')
param modelDeploymentName string = 'gpt-5.2'

@description('Model name as returned by the Foundry model catalog or list-models command.')
param modelName string = 'gpt-5.2'

@description('Model provider/format as returned by the list-models command.')
param modelFormat string = 'OpenAI'

@description('Model version as returned by the list-models command.')
param modelVersion string = '2025-12-11'

@description('Deployment type (SKU). Availability depends on the model and region.')
@allowed([
  'GlobalStandard'
  'DataZoneStandard'
  'Standard'
  'GlobalProvisioned'
  'Provisioned'
])
param modelSkuName string = 'GlobalStandard'

@description('Deployment capacity. The meaning and valid range depend on the selected model and SKU.')
@minValue(1)
param modelCapacity int = 1

@description('Responsible AI content filter policy applied to the model deployment.')
param contentFilterPolicyName string = 'Microsoft.DefaultV2'

@description('Tags applied to the resources.')
param tags object = {
  environment: 'sample'
  managedBy: 'Bicep'
  workload: 'MicrosoftFoundry'
}

// -----------------------------------------------------------------------------
// Microsoft Foundry resource
// -----------------------------------------------------------------------------
resource foundry 'Microsoft.CognitiveServices/accounts@2025-06-01' = {
  name: foundryName
  location: location
  kind: 'AIServices'
  sku: {
    name: 'S0'
  }
  identity: {
    type: 'SystemAssigned'
  }
  properties: {
    // Required to create Microsoft.CognitiveServices/accounts/projects children.
    allowProjectManagement: true

    // Required for Microsoft Entra ID authentication and Foundry endpoints.
    customSubDomainName: foundryName

    // This sample permits access through the public endpoint.
    // For production, evaluate private endpoints and network ACLs.
    publicNetworkAccess: 'Enabled'
    restrictOutboundNetworkAccess: false

    // Set to true only after all clients have migrated from account keys
    // to Microsoft Entra ID authentication.
    disableLocalAuth: false
  }
  tags: tags
}

// -----------------------------------------------------------------------------
// Microsoft Foundry project
// -----------------------------------------------------------------------------
resource project 'Microsoft.CognitiveServices/accounts/projects@2025-06-01' = {
  parent: foundry
  name: projectName
  location: location
  identity: {
    type: 'SystemAssigned'
  }
  properties: {
    displayName: projectDisplayName
    description: projectDescription
  }
  tags: tags
}

// -----------------------------------------------------------------------------
// Model deployment
// -----------------------------------------------------------------------------
resource modelDeployment 'Microsoft.CognitiveServices/accounts/deployments@2025-06-01' = {
  parent: foundry
  name: modelDeploymentName
  sku: {
    name: modelSkuName
    capacity: modelCapacity
  }
  properties: {
    model: {
      format: modelFormat
      name: modelName
      version: modelVersion
    }
    raiPolicyName: contentFilterPolicyName
    versionUpgradeOption: 'OnceNewDefaultVersionAvailable'
  }
}
# リソースグループを作成する
az group create --name rg-foundry-sample --location eastus2

# BicepテンプレートからAzureリソースを作成する
az deployment group create --resource-group rg-foundry-sample --template-file main.bicep

今回は例を出しませんが、Foundry のモデルデプロイはTerraform でも可能です。コードの詳細は以下のドキュメントを参照してください。

azurerm_cognitive_deployment

まとめ

  • Microsoft Foundry でデプロイするモデルは、Azure Direct モデルとパートナー、コミュニティから提供されるモデルに分類される。Hugging Face モデルは後者に含まれ、Azure Government で販売されるモデルは政府向けクラウドでの提供形態である。モデルによって利用条件やサポートが変わるため、モデルカードや提供元の条件を確認する。
  • デプロイ方式にはサーバーレスデプロイ、インスタントアクセス、マネージドコンピューティングがある。多くのケースではサーバーレスデプロイを検討し、モデルや用途に応じてインスタントアクセスやマネージドコンピューティングを選ぶ。
  • デプロイの種類によって、推論処理が実行されるリージョンや選択可能なモデルが変わるため、モデルを選定するときはデータ要件などを確認し使用可能なモデルを決定する。
  • モデルのクォータはサブスクリプションで共有となる。クォータは引き上げ要求で上限を引き上げることも可能だが、申請すれば必ず引き上がるわけではない。

参考資料